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受胎告知「ベリー公の美しき時禱書」より

「ベリー公の美しき時禱書」
ベリー公の図書目録で1408〜09年に記載されている「公に仕える画家たちに制作させた」時禱書というのが、記述内容からこの「ベリー公の美しき時禱書」だとされる。画家の名前は記されていないが、様式からブルゴーニュ公の没後、ベリー公に仕えたランブール兄弟による最初の仕事らしい。
聖母の時禱の冒頭、朝課の挿絵は一般的に最も豪華に飾られる。この写本でも特別に入念な縁飾りで飾られている。
書見台の前のマリアはひざまずいて百合を持つ天使の告知を聞いている。上部のバルコニーの神から金の光がマリアに向かい、聖霊の鳩もその頭上に達している。
縁飾りはマリアのマントと同じ青の下地にアカンサス葉文によって円形のメダイヨンが作られ、奏楽の天使・預言者が描かれている。下部と右中央にベリー公の紋章、標章の熊と白鳥、裸形のプットが配されている。
この写本は公の死後、アンジュー公ルイ2世の妃ヨランド・ダラゴンの手に渡り、ロアンの画家の発想源の一つとなった。

世界美術大全集10 ゴシック2 1410年代